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代表の綾部哲嗣様は、glassy、そして代表の工藤をその策定パートナーとして選び、経営判断や現場で活用されるMVVとなりました。
その流れのまま、新たに作成したのが、企業が提供する製品やサービスの品質に関する基本的な方針や目標を明示した文書「クオリティポリシー」です。
「OEMメーカーだからこそ、品質にはこだわってきた。また、他にはないその強みを徹底して社内に浸透させたかった」と綾部代表は言います。
あらためて、クオリティポリシーはどのように作り上げられたのか?
またそれが「アヤベイズム」と名付けられた意味は?
MVV策定について触れた前編に引き続き、弊社代表の工藤と共に振り返りました。
* 聞き手/文:箱田高樹
エンドユーザーとして製品を味わう、たった1つの大事な理由
――ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)に続いて、クオリティポリシーもglassyと共に策定されました。こちらの経緯はどういったものだったのでしょう?
綾部代表:そもそも、アヤベ洋菓子は、品質にはとりわけ強いこだわりがありました。それは先代の頃から続く矜持であり、私には明確な他者との差別化、ポジショニングにつながっている意識も強くあった。
OEMメーカーながら、取引先のエンドユーザーとしてその店舗に行き、納品した商品をオーダーして、チェックすることが頻繁にありますからね。
――たとえば、某カフェチェーンの店で御社が製造・納品した商品などを店頭で確認したりするのですか?
綾部代表:まさにそうです。そこで実際の店舗でエンドユーザーのみなさんがどのようにうちの商品に触れているかを見るんです。
取引先の仕様書どおりにつくった焼き菓子がレジ横に並んでいたとします。ところが、焼き菓子の食感や美味しさが損なわれるような状況で、置かれていることがままあるのです。
理由は「生地の練り過ぎ」だったり、「成形サイズの指示が不適切」であったりする。仕様書通りではあるのですが、美味しさが損なわれているわけです。
そうしたとき、うちは逆に取引先に問い合わせて「こんなみっともないものは出さないほうがいい」「御社のブランドの毀損になります」とお伝えします。実際はもっと、うまく、柔らかく伝えますけどね(笑)。
いずれにしても、美味しさのためだったら、取引先の仕様、基準も変える。それくらいの覚悟と品質へのこだわりがあるのです。
――OEMメーカーでそこまでしている企業は少ないのではないでしょうか。品質がポジショニングにもなっているゆえんですね。
工藤:すばらしい強みですよね。MVVのヒアリングを重ねるうち、このものづくりに対するこだわりと哲学を、社内向けに言語化して共有したら、よりポジショニングが明確になり、強みがより際立つと考えました。
しかも、アヤベ洋菓子は社員のほぼ8~9割の方が製造ラインに関わる仕事をしていますからね。社員の方々に響き、現場に根付く「クオリティポリシー」の策定を提案しました。
綾部代表:MVVは広く社内外に向けた宣言だとしたら、クオリティポリシーは完全に社内向けの強みを磨く言葉としてつくる。すでにMVV策定でアヤベ洋菓子のことを熟知してもらったglassyにぜひお願いしたいと考えて、ご提案を受けることにしました。
OEMだからこそ「アイデンティティ型」を選んだ
――クオリティポリシーづくりはどのように進められたのでしょうか?
工藤:最初にクオリティポリシーとは何か、からご説明しました。
あらためてお伝えすると、クオリティポリシーとは、「企業が提供する製品やサービスの品質に関する基本的な方針や目標を明示した文書」のことです。
さらに大きく3つに分類されます。
――クオリティポリシーの3分類とは?
工藤:1つは、「全ステークホルダー型」です。顧客、社員、仕入先、社会などすべてのステークホルダーに向けて、ものづくりの基本姿勢を説いたもの。上場企業のクオリティポリシーはこの形が多く、誠実な姿勢は示せますが教科書的になる面があります。
2つめは「ISOマネジメントシステム」型です。これはISOに代表されるような厳密な国際規格や、マネジメントシステムが要求する基準に従って方針を示したクオリティポリシーです。厳格で緻密な製造現場を担保しますが、他者との違いが出しづらく、差別化を示せません。
最後の3つめが「アイデンティティ型」。これこそがアヤベ洋菓子のクオリティポリシーの形になりました。
――アイデンティティ型のクオリティポリシーの特徴は?
工藤:自社のものづくりに対するこだわりを明確に発信していることです。品質保証や衛生管理のようなテンプレート型の文章にしづらく、つくる手間はかかりますが、他社との違いが際立ち、ブランドに対する好意が高まる効果があります。
綾部代表:まさにOEMだからこそ、アイデンティティ型のクオリティポリシーをつくろうと思いました。「OEMなんだから、言われたとおりに作ればいい」じゃない。私たちは、それを良しとしていません。
品質保証や衛生管理を厳格に守るのは当然のことです。しかし、それ以上に、「美味しさ」の質にこそ力を尽くしたい。品質と衛生管理が保証されていても、美味しくなかったらそれはアヤベ洋菓子がつくるべきではないくらいの意識がある。
そもそも社内でもブランドオーナーのように、ものづくりのフィードバックを現場のみんなに伝えてきました。あえて言わずとも、社内の誰しもが同じ方向と熱量で、仕事に向かってほしいと考えたのです。
――ではクオリティポリシーづくりにおいても、こうした思いと言葉を綾部代表へのヒアリングで拾い上げていったのでしょうか?
工藤:クオリティポリシーに関しては、綾部さんだけではなく、幹部を中心とした社員の方々へのヒアリングも行いました。
MVVが綾部さん中心につくりあげた面があったので、ボトムアップの要素も入れたかったからです。
ですので、社員のみなさんにも「ものづくりに対するやりがい」や、それぞれが考える「アヤベ洋菓子の強み」、さらに「チームについて」などをヒアリングして回りました。
綾部代表:私自身が体感したヒアリングの安心感は、社員向けにも力を発揮した感がありましたね。私は同席しませんでしたが、インタビューシートを見せてもらうと、驚くほど率直かつクリアに品質に対する言葉が並んでいましたから。
工藤:それらの言葉をマトリックス図にまとめて、重なる部分を抽出。そのいうえで明快な言葉になおして、クオリティポリシーとしてつくりあげました。
なぜ、綾部代表はクオリティポリシーを口にしないのか。
――完成したクオリティポリシーのポスターがこれです。「普遍的なものにこそ、本質は宿る」との言葉の下に、1.他がやらないことをやる 2.「おいしい」は現場でつくられる 3.一人よりもみんなでやる とあります。
工藤 3つの言葉はまさに現場の方々の言葉をまとめながら、クリアに見えてきたのですが、アヤベ洋菓子の強みでポジショニングを象徴するものだなと感じました。と同時に、原理原則という言葉を入れたように、アヤベ洋菓子のものづくりの哲学だなと感じました。
そこで、クオリティポリシーという言葉ではなく「アヤベイズム」という、ものづくりの現場に宿った根源的な主義、流儀のような形にしました。
綾部代表:哲学で、流儀なんだけれど、私にとっては「日常」とも言いかえられると思ったんですよね。
――日常、ですか?
綾部代表:日々、当たり前のようにものづくりする中の原理原則ですからね。「他がやらないからうちがやるんだ」とか「現場からおいしいは生まれるんだ」とか、言葉にせずともいつも私の真ん中にある。
実際、このアヤベイズムの言葉はポスターにして工場に掲げてありますが、MVVと違って私自身が直接これを言葉にする機会はほぼありません。当たり前に宿っているもので、無くしちゃいけないものだから。あえて僕から発する必要はない。
ただ、社員のみんなは明らかに、アヤベイズムを掲げてから変わりましたね。
――社員の方々にはどのような変化が?
綾部代表:それこそ私が現場であれこれうるさく言う機会が少なくなりました。前からあったものづくりの姿勢、こだわりが、さらに腑に落ちたのでしょうね。ものづくりに関する決断や判断が、現場の各々がより高い次元でできるようになってきたことを感じます。
これはMVVとあわせての効果だと思いますけどね。
これまでは「指示」で皆が動いていた。けれど、今はMVVやアヤベイズムのような原理原則と行動規範が根付いている。だから、もっと根の部分にあたる「憲法」に基づいて、各々が「これはミッションに即しているな」「アヤベイズムそのものだな」と判断しながら自律的に動いてくれている。そうした習慣が生まれ、根づき始めていますよね。
工藤:それは大変にうれしいですね。伴走してきた甲斐がある、というか。
――最後にあらためて、glassyと共にMVV、そしてクオリティポリシーを策定された感想をうかがってもいいですか?
綾部代表:とてもいい仕事をしていただいた、というのが素直な感想です。ブランディングの磨き上げを継続してお願いしていますので、「いい仕事をしていただいている」のほうが正しいですかね。
仕事って「誰とやるか」がとても大事だと思うのです。それは社内にどんな仲間を受け入れるか、というのもあるけれど、どんなパートナーと組むかも、極めて重要。
その意味で、glassyと組むことで、私たちはあきらかに「良い未来」を手に入れることができました。今より未来を明るく、良くしたい経営者の方がいるならば、ぜひglassyと共に組むことをおすすめしますね。
工藤:恐縮です。本日はありがとうございました。