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Mission & Vision 27 Aug, 2024 glassyのアートディレクターが語る、
「もちろん質も、とうぜん量も」が大事なわけ

#Compass#クリエイティブ#デザイナー

「ミッション・ビジョン・バリュー」じゃなくて「コンパス」?!

企業の存在意義、目指す姿や行動指針を明文化したMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)。

今では多くの企業が組織力強化のためにこの考えを取り入れています。glassyも2019年にビジョンのブラッシュアップやバリューの策定をし、試行錯誤しながら良い会社・良い組織づくりに励んでいます。

しかし、今回ご紹介するのはMVVではなく「Compass(コンパス)」です。ちょっと聞き馴染みのない言葉かもしれません。私たちは、バリューと同じくらいこの「コンパス」の言葉を意識して日々の仕事に取り組んでいます。

コンパスとは何か?そして今回はその中にある『もちろん質も、どうぜん量も』というテーマにフォーカスし、glassyのクリエイティブチームが仕事をする上で大切にしている姿勢をアートディレクターの志手よりお伝えします。

ー今回お話をする人ー
志手秀行
hideyuki shite
コーポレートブランディング事業
第1クリエイティブ デザイナー /AD(アートディレクター)
グループ会社から転籍後、glassyの創成期(旧社名アドテイスト)より約15年間、会社とともに成長を続けている デザイナー兼アートディレクター。インナーブランディングのツールである社内報をメインに、誌面やWEBのデザイン制作を行う。チーム内のデザイナーをまとめる立場としてマネジメントも担っている。

~チームで仕事をする上で大事な8つの行動指針「Compass(コンパス)」。
前提として大事なのは個人の自立~

―2019年に定めたglassyのバリューには、社員一人ひとりがもつべき7つの姿勢が言語化されています。そのバリューに対して「コンパス」は何を示しているのですか?

志手:コンパスは制作の仕事をする上で大事にしたい考え方を、分かりやすい言葉で示しているものです。バリューはglassyが大事にする価値観や姿勢をわりと抽象的に表しているのですが、対してコンパスは日々のコミュニケーションの中で使いやすい言葉にあえて落とし込んでいます。

仕事をしていると、あらゆる局面でどう行動すべきか、どちらを選択すべきか迷うシーンがあると思うんですけど、そんな時のまさに“羅針盤”になる言葉たちです。

―志手さんは、仕事中のどんな時にコンパスを意識していますか?

志手:日常的にしていますね。僕のチームは始業時に、社内のコミュニケーションツールとして使用しているSlackにタスクアップをしています。その際に、8つあるコンパスの中からその日に一番大事にしたいテーマを掲げてもらっています。一人ひとりがコンパスを意識し行動できるようになるためです。

退勤時にも、同じくSlack内にある日報チャンネルにその日の振り返りをアップします。ここに書く内容についてのルールは無いのですが、朝掲げたコンパスのテーマに対してどこまで行動できたのかについて書いているメンバーも多いです。

―コンパスの8つのテーマには、どんな期待が込められているのですか?

志手:glassyでは、複数の職種がひとつのチームとして仕事をする機会が多くあります。だからこそ、コンパスには相手とコミュニケーションを取る上で大事な姿勢や考え方について多く掲げているんです。

同時に僕が思うのは、チームで動くために大事なのはまず個人の自立だ、ということ。働く上では必ず相手がいるということを前提に、一人ひとりがコンパスの指針を自覚しながら自立した行動がとれることを期待しています。

~求める質=顧客の期待値~

―コンパスの8つのテーマの2番目に『もちろん質も、とうぜん量も』というテーマがあります。結構ドキッとする言い回しですが、これはどんなことを意味しているのでしょう。

志手:そうですね(笑)。一言で、質と量の両立を掲げています。本来的にはデザイナーとは一つのアウトプットに関して質を高めることに注力するものだと理解しています。僕自身も「作者としてとにかく品質を上げたいから、これだけに集中したい!」みたいな気持ちはもちろんあります。

とはいえ、質を求めてそこにかける時間が増えると、当然つくれる量は少なくなる。品質をあげるのであればこれだけの時間がないとダメだ、とか、そんなに量をやるなら質は維持できないとか、そんな話になりがちです。そこでglassyでは、はっきりと「両方が大事」と置いています。「どちらを取るか」ということ自体を問題にはしないんです。

―あえて「量」について、コンパスに掲げているのはなぜですか?

志手:ずばりデザイナー一人ひとりの「できる量」を増やし、チームで「できる量」を増やす改善を続けることが、事業の成長に直結するからです。僕らの主力ビジネスである社内報の売り上げは、シンプルに「単価×制作量」です。だからこそglassyで仕事をする上では、もちろん「質」は担保しつつ、採算がとれる「量」をきちんとこなす意識は常に必要だと思っています。

加えて、できる量を増やすことで、より多くのお客さまのご期待にお応えできるようになります。未来のお客さまの為にも、「品質に対して適切な作業量なのか」はいつも客観的に見るようにしています。

―とはいえ、「質」のレベル合わせは抽象的で難しいことではありますよね。志手さんは「質」をどう捉えていますか?

志手:デザイナー自身の主観で「もっといいものを」って思うことは悪いことじゃない。ただ、ビジネスとして考えたとき、お客様が求められているものに対してデザイナー本位のこだわりが過剰すぎたり、お支払い戴ける対価を意識せずに、いたずらに時間や工数をかけるような取り組み方ではあってはならないと思います。

僕の中では「質」というものをお客様の「期待値」に言い換えています。お客様が求めている期待値をクリアしていれば、その時にあるべき質は担保できている、と捉えています。だから、制作に入る前に、お客様の期待値がどの辺りにあるかをまず探るようにしています。

その期待値を把握することも簡単ではないですけど(笑)。

~改善は一気に全員で行い、質に向かう時間を生み出すのがglassy流~

―「もちろん質も、とうぜん量も」を掲げた当初、社内のデザイナーの反応はどうでしたか?

志手:この言葉自体への反発は表立っては無かったと記憶しているのですが、「ダッシュボード」を活用し始めた頃は、それに抵抗を感じているメンバーがいたのは事実です。当社の「ダッシュボード」とは、デザイナー一人ひとりの制作量を可視化したシートのことです。初稿(一番最初に作る制作データ)1ページにつき2〜3ポイント付与されます。四半期(3ヶ月)ごとに一人300ポイントを達成することを目指しています。当初は量だけを数値化することに対して、「これってやる意味あるの?」みたいな反発は確かにありました。

―チームのデザイナーをマネジメントする立場として、その状況をどのように解消していきましたか?

志手:ちゃんと事業として成り立たせるためにも、こなすべき量を個とチームで意識しようということを、最初のうちはかなり伝えていました。また、glassyでは3ヶ月ごとに目標設定とフィードバックの面談を実施しているので、そこでも丁寧に話をして、理解してもらえるように努めました。一人ひとりの声にちゃんと向き合うことだけは忘れないようにしていました。

最初こそ大変でしたが、ダッシュボードにポイントをつけていくと、意外とポイント数がモチベーションに繋がっていったりしたんですよね。 自分が3ヶ月間でやった量が見えるので、振り返った時にポイントが高ければ、努力の結果が実感値として感じられるからだと思います。2020年6月に導入してから早4年。今ではポジティブに受け止めながらうまく活用してもらえているように思います。

―志手さん自身は、「ダッシュボード」で何を計っていますか?

志手:2つあって、1つは各デザイナーの業務量が偏っていないか、ということ。全体のバランスを考えて調整したり、瞬間的に特定のメンバーの稼働が高くなってしまう場合はデザイナー間で協力を仰いだりしています。

もう1つは、チームの総ポイント数を見ています。ポイントの総数とはつまりチームの総生産量。例えばデザイナーが5人いたら、4半期(3ヶ月)で1,500ポイントがチームとして目指すべき基準値になります。もしその数字に足りていなかったらチームとして今の仕事量では不十分だということ。つまり、既存のお客さまを大切にしながらも新しい仕事を獲得する必要があり、その為の提案に割ける時間をつくる必要がある、という共通認識をチームでもてるようにしています。

―チームのできる量を増やすために、glassyで特に取り組んでいることは何ですか?

志手:コンパスの中に「改善は全員で、一気に」という文言もあるのですが、「工夫可能な作業は省力化して、どうしても時間が必要なところに注力する。その時間確保のために必要な改善は全員で一斉にやる」という風土がglassyにはあります。例えば、誌面のレイアウトを組む上で、どんどんバージョンアップしていくデザインソフトのアプリケーション知識を知っているか否かで質やスピードが変わってきます。新しい情報を得たデザイナーはすぐ周りに発信し、みんなが同じレベルに上がっていこうという空気があるんです。

最近では、別のチームが新卒デザイナー向けのデザイン研修を作って実行してくれたのですが、それもすぐにチームを超えて水平展開されました。これも会社全体でのデザイナーのスキルアップと平準化をはかる象徴的な出来事だったと思います。

~まだまだ足りていない。コンパスをチーム成長の源泉に~

―「もちろん質も、とうぜん量も」に対する、チームの現在地は?

志手:チームの生産量は目標値にはまだ足りてないのが現状です。まずはみんなで足りていない、という状況を強く自覚すること。その意識を高めた上で、新しい仕事を取るために今何をすべきなのか考えています。

―現状をより前進させるために特にどんな姿勢が大事だと思いますか?

志手①変化に対して前向きであり続けること ②自身の業務範囲だけに固執せず、全体最適の視点でチームメンバーと関わっていくこと ③質を担保した上で「つくる量」を追求できること の3つかな、と思います。

僕は、glassyの在籍年数が長いほうですが、これまでには、事業内容や組織体制など本当にいろいろな変化がありました。だから今後も変わり続けていくと思います。デザイナーとしての仕事の領域を広げていく姿勢はもちろん、自分がいる組織をより良くするために人との関わりを大事にしていける方と一緒に働きたいです。

―コンパスの体現の先に志手さんが見ているものは何ですか?

志手「インナーブランディングの達人」になるというglassyのビジョンの通り、デザインの力でお客さまの社内課題を解決できる集団になっていくことが目標です。そのためには、紙の社内報という媒体だけにとらわれることなく、WEBやイベントの空間デザインなどもどんどん手掛けていきたいと思っています。そういった新たなチャレンジのための時間をつくるには、まず僕らのやれる量をもっと増やさないと。

このチームならまだまだ成長していけるはず、もっとやれるはず、と思っています!