Mission & Vision 30 Nov, 2020 「Inner branding Days 2020」開催に寄せて
働く人から選ばれる時代のインナーブランディング
わたしたちglassyは2020年12月1~3日の3日間、日本最大級のインナーブランディングに関するカンファレンス「Inner branding Days 2020」を開催します。カンファレンスの目的は大きく分けて2つ。それを説明する前に、いま企業が置かれている現状について、改めてお伝えします。
経済が右肩上がりだった時代には、経営トップが何か方針を打ち出さなくても企業は成長し、社員も関心を持つ必要はありませんでした。ところが現代では、企業は激しい競争を生き残るために、ほかとの違いを鮮明にすることが求められています。
一方で、個人も、自分らしい生き方を大事にするようになりました。
この10年でいちばん大きく変わったことは、個人が、企業を自分たちの価値観で選ぶようになったことじゃないかと思います。
企業は「当社はこういう会社で、社会にこういう価値の提供を目指しています」とアピールしていかなければ、働く人から積極的に選んでもらえない時代になりました。
企業にとって「企業の価値=その企業“らしさ”」を社内に伝える「インナーブランディング」がますます重要になっているのは、こうした背景があるからです。
変化に強い組織文化を志向する経営トップ
では、経営者の考えはどうでしょうか。
ある組織開発コンサルの調査からは、こんな本音が見えてきます。
ビジネスの勝敗を分けるのは「ビジネスモデル」「経営システム」「組織文化」のうちのどれだと思うか?という問いに対し、日本の経営者は海外に比べて、圧倒的に「組織文化」を挙げる率が高いそうです。
同時に「組織文化を変えたい」と考えている経営者も、またとても多いのだそうです。どんな組織文化に変えたいのかと言えば「アジャイルな組織」、つまり変化に強い組織です。この結果から、環境の変化に素早く対応できないで苦心している企業の切実な思いを感じます。
日本の企業の多くは「イノベーションを生み出す変化に強い組織」になりたいと願っているんです。そして、どうすればそういう組織が作れるか悩んでいる。その答えの一つが「インナーブランディング」だとわたしたちは考えます。つまり企業と社員をつなぐ魅力を磨くことです。
魅力そのものは企業によってさまざまでしょう。でも、商品やサービスと違って、組織文化や企業カルチャーは、簡単には真似できないものだということに大きなメリットがあります。
「Inner branding Days 2020」の第一の目的は啓蒙です。
それでも、インナーブランディングという概念は、まだまだこの国の企業に定着しているとは言えません。「Inner branding Days 2020」の第一の目的は、その重要性を説き、そもそもの認知度をあげること。
インナーブランディングに取り組んでいる企業や組織は、厳しい状況の中でも業績を伸ばしています。そういう事例を紹介することで、インナーブランディングの大切さをアピールし、「うちの会社は小規模だから必要ない」「組織が大きすぎて無理」と考えている人の発想を変えたい。インナーブランディングは、いまや経営に欠かすことのできないピースであり、すべての日本人がそれを意識するようになってほしい。「あなた自身もインナーブランディングの主役なのだ」というメッセージを届けたいと思っています。
もう一つの、そして重要な目的はネットワークづくりです。
もう一つの目的は同じ志を持つもの同士のネットワークをつくることです。組織文化はそれぞれの企業特有のものなので、成功例をそのまま応用することはなかなかできません。だからこそ課題を共有し、オープンに情報を交換できる仲間が必要なんです。
特に、インナーブランディングは、その成果がどう業績に影響するのか見えにくいし、組織文化をつくり、それを伝えていくという仕事はとても地味で、社内の協力を得にくいという事情もあります。そんな状況でも、組織を内側から良くしたいとがんばっている人がネットワークを作り、悩みや大変さを共有しながら、組織文化づくりの知見を深め、発信していくことができたらいいなと思っています。
「Inner branding Days 2020」は、その舞台装置でもあります。社内で難しい仕事に取り組んでいる人たちが、その価値の豊かさを発信していくベース(基地)をつくることもわたしたちの役割だと思っています。
企業の「らしさ」を「ありたい姿」に
「ありたい姿」を働く人の「なりたい姿」に
わたしたちglassyは、上記のスローガンを掲げています。企業の「らしさ」を、明確な「ありたい姿」として定めて、その目的地に向かう道を、社員一人ひとりの「なりたい姿」と重ね合わせることを目指したい。
経営者がその会社の「らしさ」を描いたとしても、社員が気持ちをひとつにするためには、なぜそうありたいのか、そこに行くとどんな良いことがあるのか、を繰り返しコミュニケーションしていくしかないと思っています。
今回、「Inner branding Days 2020」にスピーカーとして招いた方々は、その重要さを熟知し、日夜努力している方たちです。このカンファレンスが、企業の課題に向き合い、変革が必要だと感じている多くの人々の出会いの場になるならば、わたしたちにとってこの上ない喜びです。
オンラインでの開催は時間や距離の制約をなくしてくれました。北から南から、多くの人とつながることができます。半年前までは考えもしなかった環境が整ったことは、ニューノーマル時代における大きな進歩です。「もっと会社や組織を内側から良くしたい!」と考え、企業文化や組織上の課題と格闘している人々がつながることで、インナーブランディングが日本の企業人にとっての当たり前になる日がぐっと近づくんじゃないか。そう思うとわくわくしてきます。