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People & Culture 16 Dec, 2020 007 相手に伝わらないのはこちらの責任。
だから日々伝わる「言葉」を磨く。

#AE&Director#ボクらのカタチ

【プロフィール】
求人情報系の企業からキャリアをスタートし、人材コンサルや企業広報に携わってきた。その後、glassyへ。趣味はお洒落なBarや美味しいワインが飲める店を探すこと。

提案活動は営業(AE)兼ディレクターの大事な仕事

営業(AE)兼ディレクターの大事な仕事のひとつに、企業が抱えているさまざまな課題を解決するための提案活動があります。そのなかでも数社が同じ土俵で戦う競合プレゼンテーションは、企画者としての腕の見せ所と言えるでしょう。今回は、私が提案をする際に心がけていることを、11月に納品を終えたばかりの、ある食品メーカー(仮にA社とします)の競合プレゼンを例にとって紹介しようと思います。

A社ではESGの方針を策定したのですが、まだその方針がコーポレートサイトのCSRページに反映されていない状態でした。そこで、従来のCSRページを、新たにサスティナビリティ活動として発信するプラットフォームにしたいという意向がありました。また、同社は乳幼児から高齢者まで多くのユーザを持つ企業ということもあって、一般の消費者にも届く、親しみやすい表現にしたいという要望もありました。

実は、A社の社内報を以前よりglassyが制作しており、そのデザインのクオリティを評価いただいていたことから、今回のプレゼンテーションの機会が巡ってきたという背景がありました。

進行中の社内報と制作期間が重なってしまうため、社内報とは別のチームを用意してほしいという条件があったことで、A社の社内報には携わっていなかった私がメインのディレクターとして、企画を受け持つことになったんです。

勝つイメージをどこに見出すか

そんなわけで、私が社内報チームからこの案件を引き継ぐまでに、多少タイムラグがあり、プレゼンテーションまで残り時間が少なく、急いでコンセプトストーリーをまとめる必要があると感じました。
オリエンテーションの資料がわかりやすくまとまっていたので、それを手掛かりに、あとはターゲットが一般の消費者ということなので、ポイントはサスティナビリティというちょっと固い内容を、どうやって興味関心をひくものにするかだと考えました。

競合となるのは、おそらくWeb制作会社で、実績やノウハウでは勝つイメージが見えにくかった。そうなると、やはり勝つためには「企画」しかないなと思いました。glassyの強みは企画提案力ですからね。クライアントの期待を超える企画を打ち出すことがこのコンペのカギだと考えました。

今回、企画を組み立てる上で大事にしたのは、自分自身も消費者の一人として、何が知りたいだろうか?という問いかけでした。たまたまゴールデンウィークの頃に観たTVでSDGsに関する情報を自分の引き出しに仕入れていたことも役立ちました。そこに登壇した教授の説明がとてもわかりやすかったので、その方が書かれたものなどをWebで検索したりして、自分なりにイメージを膨らませていきました。こうして、全体のサイトマップを設計し、最後にたどり着いたのが、「未来へのバトン」という言葉でした。

コンセプトメイクに役立ったものは、やはり「言葉」

「未来へのバトン」という言葉が浮かんだ背景には、『星の王子さま』で有名なサン=テグジュペリ氏の「我々は地球を先祖から受け継いでいるのではない。子供たちから借りているのだ」という有名なフレーズが今回の企画にマッチしていると感じたからです。このフレーズを企画書の1ページ目に入れました。通常1ページ目には“プレゼンテーションの機会をいただきありがとうございます”といったあいさつ文を入れるのが一般的ですが、そこにこの言葉を置いたのは、「今日は正攻法のプレゼンテーションはしません!」という宣言のつもりでもありました。

コンセプトメイクに影響したもうひとつが、谷川 俊太郎氏の『朝のリレー』という詩です。地球に住む人たちのリレーをつないでいくものは何だろうと考えたとき、“バトン”が浮かびました。“バトン”をコンセプトにESGを表現する。このストーリーをデザインチームに説明すると、イメージが共通のものとして膨らんでいき、企画は一気に加速しました。

そして、「未来へのバトン」というコピーは、企画書上だけでなく、Webサイトのヘッドラインとして表に出ることになりました。自分の考えたコピーが、企業サイトのように多くの人が目にする場を飾るのは、いくつになっても嬉しいものです。

丁寧に説明しつつ、でも無駄は削るのが自分の流儀

私は企画書に限らず、メールでも対話でも、相手にわかりやすく伝えることを心がけています。これまでに何度か転職を経験してきましたが、若い頃に先輩から「相手に伝わらないのは説明が良くないからだ」と言われたことが、いまも戒めになっているからだと思います。ただ、なるべく丁寧に伝えるということを企画書に反映すると情報過多になってしまうので、一旦最後まで書き上げてから削るというのが私のいつもの企画書のつくり方です。

今回プレゼンテーションを初めてリモートで行ったのですが、企画の主旨が伝わるように、より丁寧に説明し、最後に「ワクワクできるものを、一緒に作っていきましょう!」とお伝えしました。作る側が楽しんでいなければ、見る側が楽しくなることは絶対にないので。

後日、クライアントから『プレゼン時の佐藤さんの熱量がすごくて、あれで+10ポイントでした』とか、『“作り手がワクワクしながら作れるものを企画したい”という言葉が刺さりました』という言葉をいただいたときは、嬉しかったですね。リモートでも熱量というのは伝わるんだなと。いい経験になりました。

言葉を武器にglassyの仲間と結果を出したい

これまで求人情報や企業広報などを経験してきて、ずっと思っていたのは、日本には優れた会社がたくさんあるのに、なかなか知られていないのが残念ということでした。かねがねそれを伝えることができないかと思っていたところで、出会ったのがglassyでした。

インナーブランディングという手法で、社員にその企業の魅力を伝えるという活動はこれからますます重要になっていくでしょう。この仕事では、いろいろな企業の内面を知ることができ、また、内側から企業を変えたいと思っている人たちの力になれることにやりがいを感じています。

今回のA社のWebサイトにしても、リニューアルによって会社の方針がきちんと伝わるプラットフォームをつくったことで、一般の人にもA社が社会に対して行っている活動のポテンシャルの高さを今まで以上に感じてもらえるはずです。それが巡って社員のモチベーションを上げてくれることを期待しています。

キャリアを通して学んだことは、1人では仕事はできないということ。チームなら1人より規模が大きく、もっと楽しい仕事ができます。チームで働くことが好きだと思うのは、学生時代にチームスポーツをやっていたからかもしれません。私には、絵は描けないし、デザインもできない。じゃあ自分にできることって何だろうと考えると、やっぱりこれまで大事にしてきた「言葉」を届けることしかありません。社内のスタッフに対しても、クライアントに対しても言葉で、何を、どう伝えるかをいつも考えています。

これからも「言葉」を武器に、会社の同僚と力を合わせて、成果をあげることを楽しみたいと思っています。