運営会社

People & Culture 20 Dec, 2019 001 制約がある中で、いかに工夫するかを「楽しむ」

#デザイナー#ボクらのカタチ

glassyが得意とするインナーブランディングツールである「社内報」の制作。
それに携わるデザイナーの仕事について、第1クリエイティブチーム デザイナーの佐藤に聞きました。

【プロフィール】
レストランのメニューや携帯キャリアの総合カタログの制作に携わった後、デザイン事務所を経て、化粧品メーカーの店頭プロモーション(ディスプレイ・ボスター)・館内装飾などを経験。撮影ディレクションを含むデザイン全般を手掛ける。その後、glassyに入社。現在9年目。

インナーツールだからこそ冒険できる。時には相手の想像を超える提案を!

--- glassyのデザイナーの仕事内容を聞かせていただけますか?

glassyのデザイナーの仕事はインナーブランディングのツールである「社内報」の制作が大半を占めます。最近はwebの社内報を発信する企業も増えていますが、glassyの担当する社内報は印刷物中心のデザインとなります。

ひとくちに紙の社内報といっても、版型・ページ数はクライアントによってさまざまです。冊子の構成はだいたい共通していて、巻頭には毎回異なる特集、後半は支店紹介やコミュニケーションページなど連載ページというパターンが多いです。

特集ページは取材・撮影をして制作することもありますが、連載ページはクライアントからの支給素材を用いてデザインしていきます。支給なので写真の点数が不足している時もありますし、内容がジャストフィットではなかったり、撮影条件がいま一つだったりもします。
また、webと違い、紙の社内報には、紙面の制約があります。たとえば、慶弔のお知らせのページで、生まれた赤ちゃんやご結婚された方の人数が多いからといって、その月だけページ数を増やしたり内容を減らしたりはなかなかできません。限られた紙面の中でどう見せるかの工夫が必要になります。

--- 社内報ならではの、デザイナーとしての面白さはどの辺りにありますか?

IRやCSR用などのツールに比べて冒険ができる点じゃないでしょうか。クライアントにもよりますが、「表紙や巻頭特集は、ここまでやってもいいのでは?」「ここまで振り切った方が、読者(社員)が興味を持って読むんじゃないですか?」という提案ができます。

読者からのフィードバックが得やすいのも面白いところですね。アンケートで開封率をシビアにカウントしているクライアントもあります。そういうクライアントの社内報制作に携わって、「glassyさんに担当いただいて開封率が上がったよ」とお喜びの声をいただくと、デザイナーとしてもとても嬉しい気持ちになります。

--- 社内報と聞くと無難にまとめる印象がありましたが、冒険もできるのですね。

そうなんです。意外に思われるかもしれませんが、社内報だからといって硬い雰囲気の紙面ばかりではありません。むしろ、最近はやわらかい雰囲気が求められる傾向にあります。

たとえば、車のサプライヤーの社内報ではこんなことがありました。年4回の社内報で1回だけ「東京モーターショーでこんなことやりました」という“別冊”を社内報につけていました。ある年、その別冊の表紙案がなかなか通らず、試しに思い切った提案をしてみたらとても喜ばれそのままご採用いただきました。その時のクライアントの熱量にはそういった提案が見合っていたのだと思います。
表紙に限らず、他のページでもクライアントからノリノリの企画を相談されることもあります。そういう時はこちらも同じノリで返します(笑)。結果、そのページは反響の多い人気企画になっていたりもします。作り手側の熱量ってやっぱり読者に伝わるんですよね。

若いデザイナーに「こうしたら、もっと読んでもらえるんじゃないか」という根拠があるなら、やり過ぎかな?と思っても、まずはそのまま突っ走ってみたほうがいいよ、と伝えています。
もしかしたら相手の想像を超える提案につながるかもしれないですよね。クライアントの熱量を引き上げることや、読者に面白がってもらえる情報を届けることはできません。もし受け入れてもらえなかったら、その時にまた考えればいいんです。

スタートは紙面レイアウト。段階を踏んでスキルアップしていく

--- まだ経験の浅いデザイナーがglassyに入社した場合、どんな仕事からスタートすることになりますか?

最初に担当していただくのは連載ページになると思います。たとえば、「拠点紹介」のページで、「名物社員」「おすすめスポット」を紹介、素材としては拠点で働く社員のコメントや料理の写真など。雑誌の後ろの方の連載ページと言ったらイメージしやすいですね。

決められたフォーマットに対して、「今号は原稿量がこれぐらいなのでここのボリュームはこのぐらいでいけますよね」、「ここはもう入らないから枠から出てもいいかもしれないし」とか、「ここは角版なんだけど、ここはちょっとスナップ風にしましょうか」みたいなことをバックナンバーを参考にしつつ、経験の少ない人でも取り組みやすく学んでいってもらうというのが多いかな。

--- それを幾つか並行して担当することになるのですか?入社後は、どんな風にステップアップしていくのでしょうか?

最初に複数のクライアントの連載ページをいくつか受け持ってもらったあと、次のステップとして、物量的に少ないものを1人で担当する。その次は情報量が多い案件を複数のスタッフで行う時にサポートに入ってもらい、経験を積んだらその案件のリーダーとして冊子全体を通したディレクションを行う、といったようにページ数(ボリューム)と、デザインの難易度の掛け合わせでスキルアップしていくイメージです。かかる期間は人それぞれです。その時の案件の状況にもよります。

クライアントの担当者には制作物の進行に慣れている方もいれば、初めて担当される方もいらっしゃるので、整理整頓された原稿が届くこともあれば、されていない原稿が届く場合もあります。要素が多ければ多いほど紙面は複雑になりがちなので、まず自分の頭で整理することからはじめます。手探りでやってしまうと時間がかかってしまうので、見極めつつ進める必要があります。

限られた時間の中でクオリティを落とさずに仕事をする

--- glassyのチーム編成について聞かせてください。

現在、glassyは東京・名古屋・大阪にオフィスを構えていて、クライアントと地域に応じてチームが分かれています。職種は、AE(営業)と制作ディレクターを兼ねた「フロント」、編集とライティングを行う「セカンド」、そして「デザイナー」の三層構造に分かれています。各々担当する案件が異なるので、毎日夕方にショートミーティングを行って、それぞれの進捗について報告し合います。そこでサポートが必要な案件を見つけたらチーム内で協力して完成していきます。

---繁忙期と閑散期はありますか?

比較的はっきりしています。クライアントによって年間の社内報の発行回数はさまざまですけど、1月や4月は多くのクライアントが社内報を発行するのでその前はどうしても忙しくなります。一番多い時は 8~10社くらいの案件が並行して動きます。
年に4回発行するクライアントが多いですが、発行間隔が一定でないクライアントもいらっしゃるので、並行していますがフェーズはバラバラです。7、8月は比較的落ち着いていますが、何もやることがないというほどではありません。

--佐藤さんは、どんな⼈と⼀緒に働きたいですか︖

1つは自分の頭で考えられる人。制約の中でどうしたらよいものにできるかを考えて工夫し、もっとこうしたら社員に読んでもらえるのではないかといった提案をできる人です。
もう1つは異なる作法を受け入れられる人です。デザインだけでなく、ソフトの使い方、データ管理の仕方など。それまでやってきた方法に固執せず、glassyのやり方を受け入れられる人ですね。個人としてやりやすい方法とglassyのチームとして効率のよいやり方が異なることはよくありますので。

--- glassyにはどういうデザイナーが向いていると思いますか?

スキルの面では雑誌のエディトリアルデザインを経験している方が向いていると思います。社内報では対談記事などどう読ませるかがポイントになるのですが、チラシやポスターを中心にやってきた人より、雑誌のデザインをやってきた人の方が引き出しを数多く持っていて上手にまとめる気がします。

ただし、社内報は雑誌と違って“クライアントワーク”なので、クライアントの希望や支給される素材次第という違いがあります。全体のトーン&マナーを揃えることより、クライアントが入れたい情報を入れなければならないとか、クライアントのやりたいことを叶える方が優先されます。

見方を変えれば、社内報でも、いろんな提案ができるということです。本当にクライアント次第です。若い社員の活躍するIT企業だからといって、エッジのきいた社内報がお好みかというとそうでもないし、逆に数百年の歴史のあるクライアントで硬めの社内報をお求めなのかな?とお話を聞いてみると、「社内報だけど面白くしたいよね」とさまざまな試みをされるケースもあります。
あとは完成度にこだわるよりスピード感を重視するクライアントもあったりして、実にさまざまです。そういった企業の状況に適応して楽しめる人が合うと思います。