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Mission & Vision 08 May, 2019 企業のコミュニケーションに欠かせない価値をつくろう。

#クリエイティブ#工藤太一

なぜ「社内報」に着目したのか。その先に見据える「インナー・ブランディング」の重要性と可能性、そしてglassyが目指す理想の姿について。社長の工藤太一が、その胸の内を率直に語りました。

競争力というのは「企業文化」のような見えないところにある。

 glassyの前身である会社で、私たちは大手企業の採用ブランディングをお手伝いしていました。当時はリーマンショック以降の厳しい時期で、私たちは大企業でさえも倒産や吸収合併にさらされる状況を目の当たりにしました。一方、同じ大企業であっても意識改革や構造変革を成し遂げることで、逆境をバネにさらに成長できることも知りました。
 そこで私は不思議に思いました。大企業は組織として完成されているイメージを持っていたのですが、同程度の規模や組織で、同じような戦略をとっているように見えるのに、なぜ違った結果になるのか。
「本当の競争力というのは、『企業文化』のような見えないところにあるんじゃないか」というのが、その仕事をやりながら感じた私の気づきです。ちょうど同じタイミングで急成長を遂げたITベンチャーの社長が「この企業文化と社員がいれば、何の事業をやっても成功する」と、自社について語っていた言葉はとても印象的でした。
 企業文化が強い会社は、時代の流れに応じて、たとえば規模や戦略を変えながらスピーディに対応したり、あるいは全く違う業態へと変容したりと適応していきます。「そこの違いとは何なのだろう?」という点から、私は企業文化を育む「インナー・ブランディング」という領域に大きな興味を持ったのです。
 これからさらに変化が激しくなり、グローバルは当たり前になり、社員採用も難しくなっていきます。そこで企業は独自の文化を醸成しながら、社員同士で価値観を共有し、皆でよりよい会社を目指していくことが求められる、つまりインナー・ブランディングがこれからの大きなテーマになると確信したのです。

 これが「社内報の制作を通じたインナー・ブランディング」に事業内容を特化したglassyを立ち上げた理由です。幸運にも、私たちがインナー・ブランディングの仕事を始めた時期と、インナー・ブランディングが社会的に経営課題としてにわかに注目されるようになった時期とがうまく重なりました。だからglassyは、お客様から多くのご依頼をいただくことができたのだと考えています。

社内報を作ること自体がインナー・ブランディングのひとつ。

 私たちが、お客様から新たに「社内報」のご依頼をいただくタイミングはいくつかあるのですが、ひとつは大きく経営が変わる瞬間です。新しい中期経営計画がスタートする、社長が交代するなど、そういう企業の転機が訪れたときに、インナー・ブランディングを変えることが多いのです。たとえば戦略が変わると、社員に求めるものも変わります。求めるものが変わるので、当然、メッセージングも変わる。そうなるとインナー・ブランディングを再設計する必要性がでてくる、というような文脈です。企業は戦略を実行して、ステークホルダーや市場と約束した成果を出さなければなりません。そこで近年、各企業においてインナー・ブランディングのひとつである社内報が大きく見直されています。
 なぜかというと、従来の社内報は出すこと自体に意味がありました。結果、読まれない社内報になることが多く、ヒト、モノ、カネといった経営リソースも十分に割かれませんでした。商品PRや販売促進などアウター・ブランディングには大きな資本が投下されていましたが、インナー・ブランディングにはあまり振り分けられていなかったのです。ところがその重要性がにわかにクローズアップされたことで、プロの知見を借りてでもしっかり投資しなくてはいけない、という状況になってきたのが昨今の流れです。
 社内報というのは、実は作っていくこと自体がインナー・ブランディングになります。作る目的は会社の中にいくつかあり、その都度、目的を設定します。たとえば、組織のトップが発信するミッションやビジョンをしっかり伝える、そうしたエンゲージメントの進捗を共有する、シンボリックなプロジェクトを紹介する、といった具合です。実際の誌面の中では、いろいろな社員の人が登場して秘めた思いを語ったりすることで、ひとつの形を帯びていくのです。職場の近しい人たちが社内報を通じて発信する内容が、周囲にもじわじわと伝播していくのです。
 良い社内報を作るためには、社内のさまざまな人たちを巻き込んでいかなければなりませんので、本気でやろうとすると社員の方々もかなりの労力になります。でも、「みんなで作る」という活動自体がとても重要で、制作の過程で生まれてくるものがあります。それが社内報という成果物の枠を超えた、目には見えない企業文化を育んでいくのだと思います。

インナー・ブランディングの達人になることを目指して。

 どんな業界にも「業界1位」と言われるガリバーがいるのですが、インナー・ブランディングには、まだそれは存在していません。そして、このマーケットはこれからもっと大きく広がっていくと言われています。なぜなら、インナー・ブランディングというのは、いろいろな領域にまたがっているからです。
 それゆえ私たちも、社内報の制作のみを目的としているわけではありません。たとえば、社員の方の戦略実行スピードを上げる、あるいは社員と会社が報酬以外のものでエンゲージメントを高めるなど、さまざまな目に見えない価値を提供していきたい。それにより結果的に、会社がよくなるし、日本もよくなると思うのです。だから制作ツールとしては、紙だけではなくウェブや動画も当然手掛けますし、さらに戦略実行を高めていくためには、人事制度の構築や報酬制度の設計などにもコミットしていきたいと考えています。
 私たちglassyはインナー・ブランディングというものをもう少し大きく捉えたうえで、「インナー・ブランディングの達人になる」ことを目指しています。だからこそ、これからのglassyを考えたときには、人事系のコンサルタントの人にも入社して欲しいし、社内イベントの事業であれば、社員の方々とその一瞬を共感、共有できるようなイベント専門チームも欲しいです。
 もっと言うとIRも、私たちがやるべき領域だと思っています。なぜかというと、会社が持っているビジョンやストーリーを伝えていくのは、インナー・ブランディングをやっている私たちが適しているのではないか、と思うからです。会社にはこういう資産がありますよ、みたいなことはバランスシートに載っていますが、企業文化のように無形の財産みたいなものはそこには載っていないわけです。冒頭でもお話ししましたように私は、その目に見えない価値こそIRの中で株主にきちんと伝えていく必要があるのではないか、と考えているのです。その企業の本当の実力とは、つまり競争力の強さというのはそこに宿っているからこそ、それを語らずしてアニュアルレポートは完成しないと思うのです。そういった意味で、企業のステークホルダーに向けたメッセージングというのも含めて、glassyの可能性は広がっていると考えています。

マーケットそのものを創造してこそ。

 私は日本の企業のポテンシャルは、もっとあると思っています。日本はこんな成長率で甘んじるような国じゃないと信じていて、今は言うなればフタが閉ざされている状態。フタが閉ざされていることに関して、企業もパンドラの箱を開けなくてはいけない。すでに開け始めている企業もありますけれど、完全に開くという状態へと持って行かなくてはいけません。もちろん、その箱を開けるというのは、インナー・ブランディングだけではどうにもならない部分もあります。
 ただ、そのなかでもインナー・ブランディングを通じて、社員の方に提供できるものもありますし、その結果、日本で働く人たちが希望を持って明日を迎えられるようになればいいなと思っているのです。「朝が来るのがイヤだ」みたいなのは、苦痛だと思うんです。
 だから私たちは明日に希望が持てるような、そういう社員が増えて欲しいなと本気で思っていますし、それを実現するために経営に寄り添いながら、インナー・ブランディングを経営戦略としてご提供したいと考えているのです。経営課題としてインナー・ブランディングに本気で取り組む経営者の方のお手伝いをしたいのです。経営者の側に立つパートナーとして、これからも経営者の方が安心でき、頼りになる、そう思ってもらえるような企業になっていきたいと。
 そのためにも私たちは、一緒に「これからのglassy」を作っていくパートナーを募集しています。まだまだ社会的に影響力が高いわけでもないし、いろいろな制度やハードが整っているのかといえば、そうでもないと思います。それでもglassyで働くメリットや、やりがいとは、この会社を自分の力で大きくできるところかと。自分の成長を、会社の成長とともに実感できるところだと思っているので、そこに魅力を感じてもらえるような方に入社してもらえたらと思っています。
 そして、ともにインナー・ブランディングの達人となることを目指しながら、私たちが適用する価値やフィールドを自らの手でどんどん広げ、マーケットそれ自体を創造できる存在になっていきたいと考えています。